2013年10月27日日曜日

フッ素と歯磨き

さて 歯磨き剤と歯みがきの方法について お話ししましょう。

昔よく言われたのは、歯ブラシに少し 、豆粒大くらいの量が適当ですよ。とか
口の中に泡があふれて磨けたかどうかわからなくなるので、歯磨き粉は必要ありません。
とか.......。

虫歯予防先進国のスウェーデンのカリオロジーにおいてはどのような歯磨きの仕方を
推奨しているでしょうか?

スウェーデンでは半世紀以上も前から、フッ素と虫歯予防について研究が行われています。
また人体に対するフッ素の有害性についても検証がおこなわれています。

その結果、歯磨き粉や洗口剤に含まれる量のフッ素は、人体に何ら問題を起こすことなく、
しかもムシ歯予防効果が高いことがわかってきました。

よって、むし歯予防にはフッ素入り歯磨き粉(現在はほとんどが練り歯磨きになっているので
今後は歯磨きペーストと呼びます)が、必須になります。
フッ素入り歯磨きペースト使うことなくして虫歯予防を語るな、ということになります。

前置きが長くなりましたが、推奨される歯みがきの仕方は、

1、フッ素入り歯みがきペーストを使用すること
2、食後30分ほど経過したのちに歯磨きを始めること
      (唾液の量が少ない方は もう少し早い方が良いでしょう。
                                また厳密に30分待つ必要はありません。)
3、ペーストの量   学童以上                    2cm程度(歯ブラシのヘッドの長さ)
                              3~6歳                        1cm程度
                              生えはじめから2歳   1cm以下  年齢の低下と共に順次少なく
                             (少量では、予防効果がありません。)
4、2分程度磨く( ペーストをまんべんなく 全部の歯に塗りつける感覚。学童以上は       
                          最初1cmを上の歯全体に、続いて残り1cmを下の歯につける。)
5、なるべく少ない量の水ですすぐ。(ペットボトルの蓋一杯くらい)
6、歯みがき後、最低2時間は飲んだり食べたりしない。

更に効果的なのは、歯科医院で歯磨き指導を受けたのち、歯科医院でのプロフェッショナル
歯磨きケアを受けた後から始めることです。自分一人で磨いても、磨き残しは結構多いものです。歯科医院で衛生士さんに、汚れを完璧に落としてもらうと良いでしょう。

また重要なのは、虫歯になりやすいのは、子供だけでは無いという事。
乱暴な歯磨きによって歯の根元が削れて来た方、唾液の分泌量が
少なくなった高齢者もむし歯になりやすく、
ぜひフッ素入り歯磨きペーストを使ってください。

高齢者と唾液については、また次回お話ししましょう。

2013年10月2日水曜日

歯磨きの正しいタイミングは?

患者さんより、歯磨きについて お尋ねがありました。
何時どのようなタイミングで歯磨きすべきか? 
歯磨き剤は使用すべきなのか?

お答えします........!

最近のカリオロジー(むし歯学とでも訳しましょうか?)に於ける正しい歯磨きのタイミングは ”食後30分”経過してから。

炭水化物系の食物を口の中に入れると、お口の中の細菌が酸を作ります。この酸によって歯の表面の薄い部分が分溶けたような状態になります。その後 唾液の緩衝能(元に戻す力とでも訳しておきましょう)により30分程で元の状態に回復します。つまり 食後30分以内のハブラシは、柔らかくなった歯の表面を削ぎ落とす結果となります。歯磨きは食後30分程度経ってから、行なうほうが、歯に優しいということになります。
 

こうなると ”自然に元に戻るなら歯みがき必要無いんじゃないの?” という意見も出そうですが、
そう簡単に物事は進みません。

歯磨きをしないと 当然食べ物の残りカスが残ります。この残りカスに糖分特に砂糖が残っていると、お口の細菌がこれを利用して、歯にくっつきやすいネバネバしたものを作ります。これがいわゆるデンタルプラーク(歯垢)といわれるものです。このような構造物はバイオフィルムという内部で細菌同士のネットワークを構成する高度な構造物に変化してゆきます。ここで集中的に酸をつくり歯を溶かすことになります。このバイオフィルムというのが ちょっと 口をゆすいだだけでは取れず、
念入りな歯磨きが必要になります。


食後30分待ってから 歯磨き 忙しい朝など たいへんですよね。
習慣の見直しも必要かも!      続く.......